贈り物のごあいさつ、”つまらないものですが……”の本当の意味

2009年11月12日 12:18

 このページでは、贈り物のごあいさつ、”つまらないものですが……”の本当の意味について、ご紹介しています。


 贈り物やおみやげなどを手渡すとき、たいてい”つまらないものですが……”といって渡します。


 せっかくあげるのに、”つまらないものですが……”という言い方もどこか変ですし、つまらないものならあげなければいいのに、とへそ曲がりな私はずっと感じていたのですが、調べてみると、贈り物のあいさつに”つまらないものですが……”、と言い添えるのには、日本人ならではの深い理由がありました。


 その理由は、謙譲の美徳


 日本人は、特に謙虚さを大切にする民族と言われています。謙譲の美徳というのは、自分や自分の持ち物や、家族を実際より低く見せたり、表現したりすることによって相手を尊敬し、尊重しようとする振る舞いを良しとする考え方です。

 自分の奥さんや息子を、”愚妻”とか、”愚息”という言葉で言い表したりするのも、この謙譲の精神に基づいています。


 ですから、”つまらないものですが……”を、”あなたのようにすばらしい方から見れば、つまらないものに思われるかもしれませんが……”と言い換えると、その意図がよりわかりやすくなるかもしれません。


 私たちは、誰かに贈り物をするときは、あれがいいだろうか、それともこちらがいいだろうかと、いっしょうけんめい贈り物をするお相手のことを考えて贈り物を選びます。

 贈ったお相手に喜んでもらえるようにいっしょうけんめい考えます。だから、”つまらないもの”を選ぶはずはありませんし、ほんとうにつまらないものを平気で贈ることもできません。


 でも、実際に贈り物を手渡すときには、”つまらないものですが……”と一歩下がった言葉を添えることによって、贈り物をするお相手に対する尊敬と尊重の気持ちを伝えるのです。

 そうして、贈り物を贈るお相手に、”あなたはほんとうにすばらし方です”という気持ちを伝えているのです。


 このことについて、岩下宣子さんがお書きになった”マナーでわかる大人の品格”というご本の中で、

 ”新渡戸稲造は『武士道』の中で「日本人は、どなたかにプレゼントというとき、一所懸命探す。ようやくの思いで品物を探し当ててくるが、いざあなたの前にお持ちしたら、あなたがあまりにも素敵な方だから、あなたの前では私のお持ちしたものがつまらないものに見えてしまいます」という意味で日本人が「つまらないもの」と言ってものをあげる”と解説している、

 とお書きになっています。


 古来より、日本には、お歳暮やお中元といった、贈り物を贈るしきたりがあります。


 贈り物を贈るしきたりには、単に物を贈ることだけが目的ではなく、それまでのおつきあいのご恩に対する感謝と、これからの変わらぬおつきあいをお願いすると共に、”つまらないものですが……”とひと言添えることによって、”あなたはすばらしい方です”という思いも伝えているのですね。


 そう考えると、”つまらないものですが……”も、なかなかよい言葉のように思えてきますね。


 今回は、贈り物のごあいさつ、”つまらないものですが……”の本当の意味について、ご紹介してみました。


 記事本文中でご紹介した、岩下宣子さんがお書きになった”マナーでわかる大人の品格”というご本はこちらです。



マナーでわかる大人の品格




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